アトリエの3月のおわりのお楽しみといえば、春のお祝いクッキー。みんな楽しみにしています。
今年のお味は、黄:かぼちゃ、緑:抹茶、茶:ココア、ピンク:クランベリー、白:ミルク、そして紫:むらさきいもの5種類!
粘土感覚で細かく作りつつ、でもちゃんと食べ物とわかっているので、それぞれ味の組み合わせを考えたり、色合いを工夫したり。「まだ?」「もういい?」と焼き上がりを今か今かと待ちます。「おいしい!」自分で作ったものはやっぱりおいしい。思いもかけない小さなユニークなクッキーデザインが今年もたくさん生まれました。
3月を終えて4月。今度は食べられないけれど…おがくず粘土を作ります。木工作家さんにいただいた細かな木屑とのりと水をまぜて、しっかりとこねます。こちらは一週間かけて乾くと、カッチカチの丈夫なレンガのようになります。紙コップや自作の箱につけてレンガのお家にする人あり、動物をつくる人あり、いろんな世界がみえてきます。
最初混ぜ始めるときは「気持ちわるい」とか「手にくっつくー」と少し文句を言いながらも、だんだん生地がまとまってくると真剣に。直接絵の具をまぜるのも、最初は何だか「ほんとにいれちゃっていいの?」とどきどき。そのうちに、どのくらい混ぜればちょうどか、いい具合になるか、ということを自然に学びます。
クッキーを作ることと、おがくず粘土を作ること。
「ちょうどいい感じ」のしっとり感、「ちょうどいいぐらい」の固さ、色、そういった塩梅を手や目、自分自身全体の感覚で感じて、調整していく練習という点が楽しいことでもあるように思います。
しっとりや、ぱさぱさ、ぽろぽろ、ふわっと、かしっとといった質感のグラデーションをたくさん経験してほしい、と思っています。ということで、粘土のつづきは5月、今度は信楽陶土。またちがう質感だよ!
5月がやってきました!
少し気温も上がって、こどもたちはすでに半袖&裸足。
アトリエでは毎年この季節に信楽陶器をつくります。アトリエには残念ながら窯がないので、焼成は信楽の窯元にお願いします。
ひんやり冷たい土。ひとり1キロをわたすので、ちいさなひとたちには結構な重量感です。
「1200°の火で焼くから丈夫になるし、できあがったらお水がかかっても大丈夫なんだよ」「お料理ものせられるよ」と言うと、初めての子たちは眼をまるくします。粘土なのに?今こんなに手につくのに?
思い思いにつくっていく過程で、ずんずんと進むひと、細かい細工に熱中するひと、思い通りにいかなくて作ってはまた壊し作るをくりかえすひと、いろんな場面があらわれます。
もっと粘土ちょうだい〜!というひとがいる一方で、立体的なもの、じぶんにまとわりついてくる土といったものの質感が苦手なひともいます。
この黒い土が乾いて灰色になり、そして焼かれてまったくちがう質感と釉薬の色になって帰ってくる。それは想像を超える経験です。
いつか全部のプロセスをみんなで体感できたらいいなと夢みています。というわけで、畑の一部に素焼きができる小さな窯を作ろうか?!と思案中。数年後にはかなうかな?
子どもアトリエ、春4月から秋9月までのスケジュールができました!
今年も楽しいことをたくさん盛り込みました。
できあがってみると<素材に触れる>が根底にあるテーマがみえてきました。
来週からみなさんにお届けしていこうと思います。
HPにも近日中にアップする予定です。
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春の最初のイベントは4月5日のお花見写生会です。
毎年恒例、上賀茂神社の立派な枝垂桜を、みんなで見上げて描きます。
お友だちといっしょに、または家族で。春の息吹、春にしかない色、やわらかさを楽しみにいらして下さい。
こどもアトリエで出会った、さまざまな瞬間やこどもたちの作品やことばの記録。
そしてそこから、アトリエの教師であるわたし中井敦子が考えたり、感じたりしたことの記録。
今年は、少しずつ、ためていきたいと思います。ためつつ、ひらいて。
みなさんに見て読んで、感じて、思っていただけたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。